治療関係費

hanya.jpg事故後にかかった治療費は全額賠償してもらえますか?

 

 

02dog.jpgその治療が必要性に乏しい場合や不相当に高額な場合は,過剰診療,高額診療として否定されることがあるよ。

 

hanya.jpg接骨院の施術費も賠償されますか?

 

 

02dog.jpg接骨院・整骨院の施術費鍼灸・マッサージ費用,各種の治療器具・薬品代温泉療養費などは,症状によって有効と認められる場合に賠償の対象になるので,医師の指示があることが望ましい。

 

aryarya.jpg医師の指示がない場合はダメなんですか?

 

 

01dog.jpg一律で否定はされないけど,例えばムチ打ちで事故から長期間経つのに毎日接骨院に通院した場合,毎日行くのは過剰すぎるということで否定されることがある。保険会社から治療費が出ていると,稀に通院慰謝料の嵩上げを狙って必要ないのに毎日通院する人がいるけど,最終的に否認されるとその分の治療費は自腹になってしまうので,やめたほうがよいね。

 

hanya.jpg入院中に個室を使用してたんですが,個室の使用料は賠償されますか?

 

 

02dog.jpg入院中の特別室使用料差額ベッド代は,医師の指示や特別の事情(症状が重篤,空室がなかった等)があれば,認められる。逆に,ムチ打ちなど軽度の傷病で殊更に長期間の個室入院を続けるなどした場合,当初は個室代も保険会社が払ってくれたとしても,後の示談交渉や訴訟では否認される可能性が高くなる。

 

hanya.jpg症状固定後にも通院してるんですが,その分の治療費は賠償されないんですか?

 

 

02dog.jpg症状固定という賠償医学上の概念からすると,基本的には症状固定後の治療費は賠償の対象とならない。なぜなら,症状固定後の損害は後遺障害に関する賠償(後遺障害逸失利益,後遺障害慰謝料)として扱われ,そこには症状固定後にも一定程度の通院治療費が発生しうることが織り込み済みと言えるからだ。

 

aryarya.jpgどんな場合も症状固定後の治療費は認められないのですか?

 

 

01dog.jpgいや,治療しなければより悪化する状況が発生した場合とか,遷延性意識障害(いわゆる植物状態)の場合で症状固定後も自宅の介護体制が整うまで入院が必須だった場合など,認められるケースもある。

 

hanya.jpg症状固定後も定期的な検査が必要で,将来新たな手術が必要になる可能性があると医師から言われています。このような場合の将来治療費は賠償されますか?

 

02dog.jpg将来の手術費や治療費も症状固定後の治療費と同様の要件を満たせば認められる。

将来悪化するかもしれないという漠然とした主張をするだけでは駄目で,将来治療・手術の必要性や費用の概算を医師に詳しく書いてもらって立証する必要があるよ。

入院雑費

hanya.jpg入院中にかかった雑費の賠償額はどのように算定されますか?

 

 

02dog.jpg入院中の日用雑貨費(寝具,衣類等),通信費(電話代等),文化費(新聞代,テレビカード代等)等,入院中に生じた諸々の費用を入院雑費といい,訴訟基準では入院1日につき1500円で賠償される。

 

hanya.jpg日額1500円以下の支出時も日額1500円で計算されるのですか?

 

 

01dog.jpg実際にかかった全入院雑費を集計して必要性・相当性を個別に判断するのは著しく煩雑なので,訴訟上は入院雑費の定額化が顕著だ。仮に実費を集計し日額1500円以下でも,訴訟では単純に「1500円×入院日数」で請求すれば認められる。訴訟で損保側は日額1100円(自賠責の基準)を主張してくる場合もあるが,争点にもならず通常はあっさり日額1500円で認定される。

 

mutt.jpg逆に,日額1500円以上かかっている場合も,1500円までしか認められないのですか?

 

 

03dog.jpg領収書を集計して日額1500円以上の場合,その実費を請求することもできなくはない。ただ,日額1500円というのは意外と大きい金額で,それを超える実費は相当性に欠けると判断され1500円を超える額は認定されないのが通常だろう。日額1500円を大きく超える支出があり,かつそれに相当性があるとすれば,「入院雑費」以外の損害費目として主張・立証するほうが容易だ。

 

hanya.jpg入院中の雑費は,毎月の領収書を保険会社に送って実費分の支払いを受けていました。こういう場合でも,最終的な示談交渉や訴訟の場面では,改めて日額1500円で入院雑費を再計算するのですか? 

 

02dog.jpg保険会社が入院雑費の実費分を随時支払うことはよくある。最終的な賠償提示段階になると,保険会社側は日額1100円(自賠責基準)や1500円(訴訟基準)のほうがより低額になる場合は再計算して賠償提示することが多い。既払済の入院雑費の実費が日額1500円を大幅に超える場合,被害者側としては,訴訟では日額1500円で再計算した額以上の獲得は難しいことを念頭において,示談解決に限っては再計算せず既払済の実費は全額入院雑費として認めるよう交渉する方法もある。

交通費

hanya.jpg被害者自身の通院交通費としては何が認められますか?

 

 

02dog.jpg原則としては電車やバスなど公共交通機関の実費だが,歩行困難や駅から遠いなどの事情があれば,タクシー利用分も実費が認められる。

タクシーについては領収書が必須なので無くさないようにしてほしい。

 

hanya.jpg自家用車で通院した場合,ガソリン代の領収書を提出すればいいのですか?

 

 

01dog.jpg自家用車を利用した場合,自宅から病院まで1kmあたり15円での算定が賠償実務となっている。原油価格や各車両の燃費によって実費は変動するが,あまりに煩雑なので定額化しているんだ。ガソリン代の領収書があっても,そのうち通院のために車両を走らせた分がどれだけなのかが不明なので,領収書の合計額がそのまま認められるわけではない。

病院での駐車場代については実費が認められるので,領収書を取っておくこと。

 

hanya.jpg入通院時に付き添った家族が支払った交通費はどうなりますか?

 

 

03dog.jpg付添人交通費は,入院・通院ともに付き添いの必要性があれば認められる。入院時において付添看護とまではいかずに見舞い程度だった場合は認められにくいが,遠方からの場合は,「駆け付け費用」として相当性があれば認められることもある。駆け付けのために要した宿泊費も同様だ。 ただ,「付添看護費(入院付添費・通院付添費)」が認定された場合に,これとは別途に付添人交通費を認定しない場合もある。

 

aryarya.jpg治療中に職場復帰したんですが,まだ歩行が困難で通勤にタクシーを使用しました。このタクシー代は認められますか?

 

02dog.jpg治療中の通勤交通費が認められるか否かも,結局通勤でのタクシーの使用等に必要性・相当性があるかによって決まる。

 

 

hanya.jpg将来かかるかもしれない通院交通費は賠償してもらえるのですか?

 

 

01dog.jpg基本的には症状固定後の通院交通費は認められないが,1〜3級など重度の後遺障害で終生の通院が必要な場合などは,将来治療費と併せて将来の通院交通費の必要性や金額を主張・立証し,認定を目指すことになる。

付添看護費・総論

hanya.jpg付添看護費にはどんなものがありますか?

 

 

01dog.jpg付添看護費は,大きく分けると「入院付添費」・「通院付添費」・「症状固定までの自宅付添費」の3種類がある。これらはいずれも症状固定までの付添看護に関するもので,症状固定後の付添看護については「将来介護費」として扱われる。

 

aryarya.jpg被害者が家族に付添の報酬を支払うことは通常ないと思うのですが・・・。

 

 

02dog.jpg近親者の付添看護費は,近親者が付き添ったことによる損害を金銭で評価したものなので,現実に近親者に報酬を支払う必要はない。なお,付添看護費はあくまで被害者本人の損害として計上される。

 

mutt.jpg付添看護のために仕事を休んだのですが,これは近親者の休業損害として認められるのですか?

 

 

03dog.jpg一般に,交通事故の損害賠償でいう休業損害とは原則として本人の休業損害のことを指す。近親者が休業して付添看護をした場合は,近親者の休業損害の日額が付添看護費の基準の日額より多ければ,「近親者の休業損害相当額」が付添看護費の金額として評価され,認められる。ただし,職業付添人を雇った場合の日額が限度となる。

付添看護費・各論1 〜入院付添費〜

hanya.jpg交通事故で入院した被害者に付き添った場合に賠償の対象となる損害が入院付添費ですね。入院付添費はどんな場合に認められるのですか?

 

02dog.jpg一般的には,医師の指示があった場合のほか,受傷の内容・程度,被害者の年齢などにより付添看護の必要性ある場合にのみ認められる。具体的には,意識障害を伴うような頭部外傷や,入院中の生活に支障が出る上肢や下肢の骨折,被害者が幼児・児童である場合などだ。

 

hanya.jpg入院付添費はいくらの賠償がされるのですか?

 

 

01dog.jpg近親者による入院付添費の基準額日額6500円で,これに付添期間を乗じて算出するのが原則だ。ただし,受傷の内容・程度,被害者の年齢などによって増減がある。特段に重篤な傷害では日額8000円〜1万円程度が認められることもある。近親者でなく職業付添人が必要な場合はその実費が原則だ。

 

aryarya.jpg具体的な看護を付きっきりでしたわけではなく,見舞い程度の付添を毎日短時間だけしたような場合はどうなるのですか?

  

03dog.jpg原則として付添看護費は認められない。もっとも,どこまでが見舞いに付随する看護で,どこからが賠償の対象となる付添看護といえるかは厳密には分けにくい場合もあるので,結局は滞在時間や受傷の内容・程度,被害者の年齢などを総合考慮して判断される。
付添期間としても,受傷直後の急性期における付き添いは入院付添費として認められやすい反面,急性期経過後については認められにくい傾向はある。

 

punpun.jpg保険会社は「入院した病院は基準看護を前提としているので,近親者による付添の必要はなく,入院付添費は払えない」と言ってきました。このような主張は認められるのですか?

  

02dog.jpgよくある保険会社の主張だね。少なくとも訴訟の場合には,受傷の内容・程度,被害者の年齢などの考慮要素を踏まえて,現実にどのような近親者付添の必要性があったか,近親者が実際にどんな入院付添看護を行ったのかを立証すれば,一定の入院付添費が認められる場合が多い。基準看護をうたっているかどうかというのは結局は形式論でしかないので,それだけで直ちに入院付添費が一切認められなくなるというものではなく,病院の看護の補助的役割を果たしたかどうかがポイントになるんだ

付添看護費・各論2 〜通院付添費〜

mutt.jpg通院に家族が付き添った場合の通院付添費について教えて下さい。

 

 

02dog.jpg入院付添費と同様に,受傷の内容・程度,被害者の年齢などにより通院付添の必要性がある場合にのみ認められる。簡単に言えば,被害者一人では通院が困難な場合でなければ,たとえ実際に通院に付き添ったとしても通院付添費としては認められない場合もあるということだ。

 

hanya.jpg金額はいくらですか?

 

 

01dog.jpg近親者による通院付添費の基準日額3300円だが,増減があり得ることは入院付添費と同様だ。

 

 

hanya.jpg子供が被害者で,病院への通院時だけでなく学校への通学時も付き添いました。これは考慮されますか?

 

 

03dog.jpg必要性があれば,通学についても妥当な範囲で付添費が認められる。実際上は,通院後に病院から学校に直行したりすることが多く,その場合は通院付添費と通学付添費を別々に認定することにはならないが。
なお,通学付添費に類似するものとして,被害者が幼児・児童・生徒の場合の保育料・学習費(進級遅れの授業料や補修費)なども,妥当な範囲で認められ得るよ。

付添看護費・各論3 〜症状固定までの自宅付添費〜

hanya.jpg症状固定までの自宅付添費とはどういうものですか?

 

 

01dog.jpg症状固定後の損害として計上される「将来介護費」の項目で別途詳しく説明するが,後遺障害の具体的内容・程度によっては,近親者等が自宅生活するにあたって,身の回りの世話や看視・声掛けによる介護を必要とする場合がある。このことは,症状固定後だけでなく退院後に症状固定まで自宅療養している間においても同じなので,この自宅での近親者等による付添看護について,「症状固定までの自宅付添費」として損害を認定する場合がある。

 

hanya.jpg金額はいくらですか?

 

 

02dog.jpg入院・通院付添費の基準額を参考としつつ,症状固定後の将来介護費の認定額に準じた金額になるのが基本だ。例えば,遷延性意識障害や高次脳機能障害等による1級の後遺障害の場合,症状固定後と同様に症状固定前も自宅付添看護の負担は重いといえるから,8000円や1万円といった金額が認定され得る。一方,5級の高次脳機能障害で症状固定後の将来介護費が日額3000円で認定されたという場合であれば,やはり症状固定前の自宅付添費も3000円前後が目安となりやすい。

 

mutt.jpg結局は自宅付添の必要性とその負担の程度によって決まるのですね。 

 

将来介護費その1

02dog.jpg重度後遺障害により症状固定後も付添介護が必要な場合,その後遺障害の内容・程度・介護の負担などに応じた将来介護費が認められる。遷延性意識障害,高次脳機能障害,脊髄損傷などによる後遺障害等級別表第1の1級1号2級1号などが典型的な例だ。

 

mutt.jpg将来介護費の算定方法を教えて下さい。

 

 

01dog.jpg原則として,「年額(1年あたりの評価額)×症状固定時の平均余命に対応するライプニッツ係数」で計算される。年額については,職業人介護の必要性が認められればこれを雇うのに必要かつ相当な実費,近親者介護であれば日額8000円が一応の基準とされている。もっとも,この近親者介護料は,具体的な介護の程度,介護時間,介護者の負担の重さ等により,日額8000円からの増額があり得る。

 

aryarya.jpg具体的に計算すると・・・。

 

 

03dog.jpg例えば,被害者が症状固定時30歳の男子で全期間を日額8000円の近親者介護料で計算した場合,その平均余命は約50年(平成20年簡易生命表=50.09年)なので,次の計算式により5330万7228円が将来介護費となる。
[計算式]8000円(日額)×365日×18.2559(50年のライプニッツ係数)

 

hanya.jpg職業人介護の必要性が認められた場合,その将来介護費は近親者介護の場合より高額になると思うのですが,どのような基準で職業人介護が認められるのですか?

 

02dog.jpg職業人介護の必要性やその費用,近親者介護料の金額については,後遺障害の内容・程度,常時介護か随時介護など介護の実態,介護する親族の有無や就労状況など,個別具体的な事情の主張・立証にかかっている。交通事故を専門的に取り扱う弁護士とそうでない弁護士との差が如実に出るところでもある。

 

hanya.jpg常に職業人介護と近親者介護の二者択一になるのですか?

 

 

01dog.jpgそうとは限らない。例えば,被害者が若年の場合,介護にあたる近親者の就労可能年数(67歳まで)は近親者介護前提の介護料,その後は職業人介護前提の介護料で算定することも多い。近親者が就労している場合は,平日のみ職業人介護前提の介護料,休日は近親者介護前提の介護料,といった算定方法を採用することもあるよ。

なお,将来介護費に関しては,特に後遺障害が遷延性意識障害の場合に「在宅介護の蓋然性」,「余命制限」,「定期金賠償」が問題となるので,そちらの項目も参照して欲しい。

将来介護費その2

aryarya.jpg後遺障害等級別表第1の1級1号や2級1号でないと,将来介護費は認められないのですか?

 

 

02dog.jpgいや,3級以下でも認められ得る。結局は後遺障害の具体的内容将来介護の必要性についての主張・立証次第になるが,例えば,高次脳機能障害の等級は1,2,3,5,7,9級とあるところ,1,2級だけでなく3級や5級でも認められる場合は少なくない。金額は1級や2級での近親者介護の一応の基準額とされる日額8000円より低額にはなるが。

 

hanya.jpg高次脳機能障害の3級や5級ではどんな介護が必要になるのですか?

 

 

01dog.jpg「介護」と聞いて一般的に想像するのは,入浴,食事,更衣,排泄などの日常生活動作(ADL)に対する「身体的介助」だろうが,高次脳機能障害3級や5級の被害者はこれらがほぼ自立していることも多い。この場合,身体的介助は不要かごく軽度で済むので,身体的介助という意味での将来介護料は認め難い。

 

mutt.jpg確かに,高次脳機能障害は認知障害人格変化が障害の中心なので,介護のイメージが沸かないですね。

 

 

03dog.jpgだが,日常生活動作(ADL)が自立している場合でも,日常生活関連動作(IADL)生活の質(QOL)の面では,他人による「看視(見守り)」「声掛け(指示)」がなければ人間らしい社会生活を送ることが困難な場合がある。こうした他者による看視や声掛けの労力もまた「介護」の一種であり,将来介護費としての金銭的評価の対象になるんだ。

医師等への謝礼金

hanya.jpg交通事故での入院中,大きな手術が必要になったので,医師に謝礼金を渡しました。これは賠償の対象となりますか?

 

 

02dog.jpg教科書的な回答をすると,医師等に対する謝礼金は,「社会通念上相当なものであれば,損害として認められる場合がある。」ということになる。 

 

aryarya.jpg実際のところ,どうなんでしょうか?

 

 

01dog.jpg従来は,全額はともかく一定範囲の額は損害として認められることもあった。ただ,そもそも謝礼金は医師に対する厚誼に基づくものであるし,平成16年2月にまとめられた日本医師会の『医師の職業倫理指針』でも「医師は,医療行為に対し定められた以外の報酬を要求してはならない。患者から謝礼を受け取ることは,その見返りとして意識的か否かにかかわらず何らかの医療上の便宜が図られるのではないかという懸念を抱かせ,またこれが慣習化すれば結果として医療全体に対する国民の信頼を損なうことになるので慎むべきである。」との規定が設けられていることから,大阪地裁など損害として認めないことを明らかにしている裁判所も出てきている

 

hanyaa.jpg今後は損害として認められにくくなるのでしょうか?

 

 

03dog.jpg国公立(独立行政法人)の病院なら医師が収賄罪に問われかねないので,謝礼金を渡そうとしても医師は断固として断るのが通常だろうし,私立病院でも医師が診療費外の謝礼金を受け取ることを病院規定で禁じているところもあるから,今後は損害として認めない方向性になっていくかもしれないね。

 

hanya.jpgでは,入院中にお見舞いに来てくれた人に快気祝いを贈った場合,その費用は損害として認められますか?

 

 

02dog.jpg見舞客に対する接待費や快気祝い等は,道義上の出費だから損害としては認められていない。その代わり,見舞客などからもらった見舞金を損害額から差し引く(損益相殺)こともしない。このような扱いは,葬儀関係費で説明した「香典」と「香典返し」の関係と同じだ。

装具・器具購入費

hanya.jpg賠償の対象となる装具器具にはどんなものがありますか?

 

 

01dog.jpg装具としては義手,義足,義眼など,器具(介護用品)としては車椅子,電動ベッド,介護リフトなどが代表的だが,他にも傷害・後遺障害の部位や程度に応じて様々なものがあり,その費用は必要かつ相当な範囲で損害として認められる。

 

hanya.jpg将来的に買い換えの必要があるものは,その将来分の費用も賠償されますか?

 

 

02dog.jpg重度の後遺症事案(遷延性意識障害,重度高次脳機能障害,重度脊髄損傷など)では,将来の装具・器具費用を請求する場合が多いね。原則として法定耐用年数を基準に,将来(余命)に渡る装具・器具の買い換え必要性とその費用を主張・立証していくことになる。なお,将来の買い替え費用の算定は,原則としてライプニッツ係数現価表によるやや複雑な計算を行う。

 

mutt.jpg購入した装具や器具の見積書や領収書,製品の仕様が書かれたパンフレット類などは,訴訟での立証資料として使う可能性があるのできちんと保管しておく必要がありますね。

住宅改造費・自動車改造費

hanya.jpg重度の後遺障害者が自宅で生活する場合,車椅子を使えるよう段差を解消したり,浴室やトイレを介護用に改造したりする必要がでてきますね。こういった住宅改造の費用は賠償されますか?

 

02dog.jpg住宅改造費は,後遺障害の具体的な内容・程度に応じて,必要かつ相当な範囲で損害と認められる。ただし,常に改造費全額が認められるわけではなく,改造によって同居家族も便益を受けている場合など,一定金額が減額されることがある。

 

mumutt.jpg自宅が改造に適さない場合,新たに介護用住宅を建設する必要性が出てくる場合もあると思いますが,この場合も新築費用の全額が認められるわけではないということですか?

 

01dog.jpgそのとおり。新築して被害者の家族も住む場合,家族も新築住宅の便益を享受することになるから,損害として認められるのは通常住宅の新築費用と介護用住宅の新築費用の差額のみ,といった算定がなされる。新築ではなく介護に対応した他の賃貸住宅に転居するという場合にも,転居費用のほか,通常住宅と介護用住宅の家賃の差額のみを損害として認めるのが原則的考え方だ。

 

hanya.jpg車椅子ごと搬入できるよう自家用車を改造する場合はどうなりますか?

 

 

03dog.jpg自動車改造についても住宅改造と同じで,改造の必要性があれば改造にかかった費用が損害として認められる。すでに持っている自家用車を改造するのではなく新たに介護用自動車を購入する場合も,その購入費用全額ではなく,通常の自動車と介護用自動車の差額のみを損害とするのが原則だ。

 

punpun.jpg住宅改造にかかった費用を保険会社に請求したら,詳しい図面や見積書の提出を要求されたほか,実際に自宅に行って調査したいと言われました。保険会社に自宅を調査されるなんて気分が悪いのですが,応じなくてはいけませんか?

 

02dog.jpg保険会社としては,住宅改造費を賠償する以上はその費用が適正か調査するのは当然なので,原則として応じるべきだ。もちろん,調査に基づく保険会社側の査定が妥当でなければ,被害者側としてはこれを争うことになる。

 

mutt.jpg裁判になってから被告側(保険会社側)が調査を要求してくることはありますか?

 

 

01dog.jpgもちろんある。その場合も,裁判で自ら高額の住宅改造費を請求しながら調査を拒否するというのは原則としてしてはならない対応だ。拒否したら何かやましいことがあるのかと裁判所に思われるだけだよ。被告側に調査に基づく主張をさせた上で,こちらも住宅改造の必要性と費用の妥当性を堂々と主張・立証すればよい。

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