自賠責保険と任意保険その1 〜一括払いと示談代行〜

02dog.jpg自動車保険には,法律で加入が義務付けられている自賠責保険(自動車損害賠償責任保険=強制保険)と,加入義務がない任意保険の2種類があることは知ってるね。
この2つの違い,関係性は分かるかな?

 

aryarya.jpgうーん,自賠責保険で支払いきれない賠償を任意保険がまかなう,っていうイメージぐらいしか・・・

 

 

01dog.jpgそれで大きな間違いはない。自賠責保険は,支払われる保険金(損害賠償金)の算定方法や限度額が法令で定額化されているので,それを超える分については任意保険から支払われることになる。

例えば,死亡事故の自賠責保険金の限度額は3000万円なので,仮に死亡した被害者の損害額が訴訟で5000万円と確定したとすれば,実際の負担額は自賠責保険が3000万円(ただし死亡に至る傷害分の損害は別途120万円の枠あり),任意保険が2000万円となる。

 

hanya.jpg被害者には自賠責保険と任意保険から別々に支払われるのですか?

 

 

03dog.jpg被害者請求(仮渡金請求,内払金請求,本請求)という制度で自賠責保険分だけ先に請求する手続はあるが,任意保険に自賠責保険の負担分もまとめて支払ってもらうこともできる。これを一括払いという。任意保険が一括払いをした場合は,その後に任意保険は自賠責保険に請求して自賠責保険金分の支払額を回収することになる。

 

hanya.jpg交通事故が発生すると,普通は相手方の任意保険会社が対応窓口になりますよね。そのまま任意保険会社とだけやりとりをすることもできるのですか?

 

02dog.jpg任意保険会社がやりとりの相手方となることが多いのは,任意保険にはほとんどの場合に示談代行サービスがついているからだ。弁護士に依頼する前の段階では,そのまま任意保険会社とだけやりとりして自賠責保険と直接のやりとりをしない場合も多いだろう。

 

mumutt.jpg加害者側が任意保険に加入していない場合や,加入していても示談代行サービスがない場合には,加害者側が加入する自賠責保険が交渉の相手方になるのですか?

 

01dog.jpgいや。そこは全く違って,加害者本人が交渉の相手方になる。自賠責保険には示談代行サービスというものはないので,自賠責保険が交渉の相手方になることはない。被害者請求という制度で自賠責保険に請求するときでも,別に自賠責保険が加害者に代行して交渉相手になっているわけではないんだ。

自賠責保険と任意保険その2 〜物損などとの関わり〜

02dog.jpg自賠責保険任意保険のその他の違いは?

 

 

mumutt.jpgあっ,自賠責保険では物損は支払われません!

 

 

01dog.jpgそのとおり。自賠責保険が担保するのは人損(人的損害=交通事故で人体が受傷したことで発生した損害)のみだ。物損(物的損害=交通事故で車両等の物が損傷したことで発生した損害)については,自賠責保険からは一切の損害賠償金・保険金は出ない。

 

hanya.jpg交通事故の相手方が任意保険に入っていない場合,物損の賠償はどうなるのですか?

 

 

03dog.jpgその場合,車両の修理費などの物損は加害者本人に請求するしかなくなる。ところが,四輪車で任意保険に入っていないような加害者は大抵いい加減な性格だったり資力に乏しかったりするので,物損の賠償交渉はままならないことが多い。もちろん,自分が入っている任意保険で車両保険契約もしているならば,そこから物損分の保険金を得ることはできるが。

 

mutt.jpg自分の自動車保険にも気をつけておく必要があるのですね。

 

 

02dog.jpgよく交通事故の問題では「相手方の保険」・「自分の保険」と言うことがあるのだけど,基本的に「相手方の保険」とは相手方車両に契約されている任意保険または自賠責保険のこと,「自分の保険」とは自分の車両に契約している任意保険のことだ。

 

hanya.jpg交通事故が起きたとき,自分の車両に契約している自賠責保険は関係ないのですか?

 

 

01dog.jpg自分の損害との関係では基本的に関係ない。「自分の保険」で自分の人損・物損について支払いを受けるのは,任意保険で搭乗者傷害保険,人身傷害補償保険,車両保険などを契約しているからで,自分の自賠責保険とは無関係だ。

加害者本人に支払わせたい?その1

hanya.jpg加害者が自賠責保険任意保険に加入している場合,賠償金はすべて保険会社が払い,加害者本人は1円も払わないことになるのですか?


01dog.jpg加害者本人が賠償金とは別の見舞金程度を自発的に払うとか,任意保険の対人賠償に限度額がある場合などは別として,原則として賠償金は加害者加入の自動車保険会社が全額支払うことになる。自賠責保険金の限度額までは最終的には自賠責保険の負担になり,それを超える部分が任意保険の負担だ。


punpun.jpg事故の張本人の加害者にも負担させたい気持ちがあります。保険とは別に加害者本人にも支払わせることはできないのですか? 被害者が大変な思いをしているのに加害者に何の負担もないのはおかしいと思います。


02dog.jpgそれは大きな誤解がある。加害者加入の保険会社が支払うものは,加害者本人が支払うのと同じことなんだ。


hanya.jpgどういうことですか?

 


03dog.jpg保険会社が被害者に直接支払うことが圧倒的に多いので忘れがちだが,そもそも自動車保険は加害者本人が被害者に対して賠償責任を負う際に使用されることが前提だ。つまり,本来的な流れでは,まず加害者本人が被害者に賠償金を支払い,その後に保険会社が加害者本人(保険会社から見て被保険者)に対して賠償金と同額の保険金を支払う順序となる。


mutt.jpgでも,通常は一時的に加害者本人が支払うこともなく,保険会社が被害者に直接支払っていますね。

 


01dog.jpg保険約款上,被害者の保険会社に対する直接請求権がある場合も多いが,それは別としても,加害者本人には高額の賠償金を立替える資力がないのが通常だし,あったとしても加害者が被害者に支払い,その分を保険会社が加害者に支払うという2段階の流れを経るのが煩雑なので,保険会社が被害者に直接払う形を取るわけだ。


mumutt.jpgすると,保険会社が被害者に支払うというのは,本来の2段階の流れに立ち返って考えると・・・段階が省略されただけで結局は加害者本人が被害者に支払っているのと同じことですね。


02dog.jpgそういう理解で良い。仮に保険会社から賠償金1000万円の支払いを受けたら,それは加害者本人から1000万円の支払いを受けたのと同じことなんだ。そう考えれば,「保険会社とは別に加害者本人にも支払わせたい」というのが奇妙な理屈であることが分かるだろう。保険会社と加害者本人の支払いは「別」ではなく同じなのだから。

加害者本人に支払わせたい?その2

punpun.jpg理屈としては,保険会社と加害者本人の支払いは同じと分かりました。でも気持ちとしては納得できないところがあります。


01dog.jpgもちろん,保険会社から最終の賠償金支払いを受けた後に,加害者本人が賠償金とは無関係の支払いを「自発的に」してくれるなら有難いことだ。だが賠償義務の消滅後にそこまでしてくれる奇特な加害者などいない。する必要もないからだ。


hanyaa.jpg例えば,1000万円と認定された損害額を保険会社が支払ったとしても,加害者本人に誠意があれば,保険の対象外の損害分を支払ってくれてもいいのでは?


02dog.jpgそれは「保険の対象外の損害」とは何かという問題だ。最初に任意保険が提示する賠償額は任意保険の内部基準による低い金額なので,弁護士に依頼すればいわゆる弁護士基準,裁判基準の高い賠償額が得られる場合が多い。では,例えば最も高い裁判基準で1000万円の賠償金が認定され,裁判終了後に保険会社からその支払いを受けた場合,それを超えるような「保険の対象外の損害」とは一体何なのだろう?


mutt.jpg裁判で認められなかった損害です。

 


03dog.jpgでは,「裁判で認められなかった損害」とは何か?当事者双方の主張・立証の巧拙や裁判所の認定の幅はあるが,一応,最終的に裁判で認定されるのは全事情を前提とする「適正な賠償額」だ。つまり「裁判で認められなかった損害」とは「適正でない損害」になる。すると,裁判所認定の適正な賠償額が支払われた後に,なぜ加害者本人に対して適正でない賠償までも支払うべきと言えるのか,ということになる。これは加害者の誠意のあるなしとは無関係だ。


mutt.jpg何となく分かってきました。

 


01dog.jpg君も自分が加害者となり賠償義務を負う場合に備えて自賠責保険任意保険に加入し,保険料も支払っているはずだ。そのおかげで,万一自分が賠償義務者となったときは被害者に対する賠償金を保険会社から支払ってもらえ,自己負担の必要がなくなる。自動車保険とはそういう仕組だ。


aryarya.jpg確かに,保険会社が賠償金を支払った後に,被害者から「保険の対象外だろうが裁判所も認めなかった適正でない損害だろうが誠意を見せて支払え」と言われ続けたら困ってしまいますね。警察に通報したくなるかも・・・。


02dog.jpgそれが理解できればこの問題は終了だ。

 

保険会社の担当者と対応

punpun.jpg保険会社の担当者がしっかり対応してくれず,不満です。

 


01dog.jpg支払う側の保険会社と受け取る側の被害者とでは利害が対立して当然なので,被害者が100%満足な対応をしてもらったと感じることは少ないね。


mutt.jpgどの保険会社もこんなものなのですか?

 


02dog.jpg保険会社によって多少の傾向の違いはあるが,基本的には似たり寄ったりだ。強いて言えば,王手の損保のほうが良くも悪くも「優秀」な担当者が多いが,「優秀」だから被害者に優しいわけではないし,その逆でもない。新興のネット通販型損保外資系損保のほうが担当者の優劣のバラつきが多いが,結局は保険会社というより個々の担当者のレベルの問題だ。


aryarya.jpg担当者を替えてもらうことはできないのですか?

 


03dog.jpg苦情を出せば替わる場合もあるし,保険会社の都合(人事異動等)で自然に替わる場合も多い。無茶な要求ばかりしてると弁護士委任事案になり,窓口が保険会社の担当者から弁護士になって,かえってややこしくなることもある。


hanya.jpg事案の性質によって対応が変わることはありますか?

 


01dog.jpg被害者過失が0%か非常に小さい事案,被害者が子どもの事案,極めて重篤な傷害事案など,比較的穏当な対応になりやすい事案がある。また,自由診療ではなく被害者の健康保険を使っての治療に同意した場合,保険会社の治療費の支払額もより少なくて済むから,その引き換えというわけではないがより長期間の治療費や休業損害を認めてくれやすくなる傾向がある。

保険会社が弁護士委任するとき その1

punpun.jpg相手方の弁護士から受任通知が届きました。これからは任意保険会社の担当者ではなく弁護士が窓口になるそうです。いきなり弁護士に依頼するなんて酷いと思います。


02dog.jpgこちらがいつでも弁護士に委任できるのと同様,相手方も段階を問わず弁護士委任できるので,そのこと自体は仕方がない。もっとも保険会社が弁護士委任するのは何らかの事情がある場合のみで,問題がなければ弁護士委任されない事案のほうが圧倒的に多い。


hanya.jpg相手方の弁護士は誰の委任を受けているのですか?加害者本人,それとも保険会社ですか?

 


01dog.jpg形式的には加害者本人や他の賠償義務者(加害車両の所有者や加害者の使用者等)から委任を受けた代理人弁護士ということになる。もっとも,実際上は保険会社が弁護士委任する旨を加害者等に伝え了解を取り,保険会社が選任した弁護士との間で委任状を取り交わさせるのが通常の流れだ。実質的には保険会社が依頼した弁護士と考えてよい。


hanya.jpgどんな場合に保険会社は弁護士委任するのですか?

 


03dog.jpgいくつか典型的な事由がある。まず,被害者側が無茶な要求を繰り返す,怒鳴る又は脅迫的言動を繰り返す,担当者変更を何度も申し入れる,サービスセンター長や保険会社の本社に苦情を繰り返す場合などだ。


hanyaa.jpg被害者側が少しくらい感情的になるのは仕方ないのでは?

 


02dog.jpg少しくらいなら保険会社の担当者も慣れているが,合理的・理性的な話し合いができそうにないと判断されると担当者の手には負えないということで,弁護士委任事案となる。事故発生から短期間のうちに弁護士委任されるのはこうした理由が多い。

保険会社が弁護士委任するとき その2

01dog.jpg任意保険には示談代行サービスが通常付いており,原則として加害者側の窓口は任意保険となるが,被害者側が電話,手紙,訪問等を問わず加害者本人等に直接請求を繰り返し,しかもその内容が穏当でない場合,弁護士委任されることが多い。


punpun.jpg本来責任のある加害者に直接請求して何が悪いのですか?保険会社に任せっきりにするほうがおかしいと思います。


02dog.jpg確かにその通りだが,任意保険会社にとっては加害者こそが契約者や被保険者であり「お客様」にあたるので,「お客様」が交渉に煩わされたり危害が及ばないよう最善の手段(弁護士委任)を取るのはむしろ当然のことだ。


hanya.jpg弁護士委任されるのは,他にどんな場合がありますか?

 


03dog.jpg偽装事故・当たり屋その他保険金詐欺が疑われる「モラル事案」と呼ばれるものや,被害者が反社会的勢力と疑われるなど,対応に注意を要する事案は初期段階から弁護士委任されやすい。


aryarya.jpg被害者が弁護士委任した場合,保険会社もすぐに弁護士委任するのですか?

 


01dog.jpg可能性は少し高まるが,被害者の弁護士が受任通知すれば直ちに保険会社も弁護士委任するわけではなく,しばらくは担当者がそのまま交渉窓口であり続けることが多い。もちろん被害者が訴訟提起すれば確実に弁護士委任される。交通事故紛争処理センターに申し立てた場合は,弁護士委任されることもあるが,委任されず担当者が交通事故紛争処理センターの期日に出頭して自ら対応を行なっていく場合も少なくない。


hanyaa.jpg保険会社が治療費の支払を打ち切った後も症状固定せず自費で治療を続けてたら,弁護士委任されました。


02dog.jpgそのパターンもよくある。症状固定と後遺障害認定手続への移行を促されて応じないまま長期間が経過すると,弁護士委任され,債務不存在確認あるいは適正賠償額確定の名目での民事調停を提起されることがある。

弁護士特約その1

hanya.jpg弁護士特約って何ですか?

 


01dog.jpg正確には保険会社により弁護士費用等補償特約又は弁護士費用等担保特約といった名称で,任意保険の特約の一種だ。交通事故で弁護士・司法書士・行政書士等に依頼する場合,その費用のうち限度額(一般的に300万円)まで保険会社が支払ってくれる。


mutt.jpg

似たような特約で,法律相談費用補償特約というものもありますね。

 


02dog.jpg法律相談費用補償特約は,弁護士等への法律相談にかかった費用が支払われる特約で,一般的に限度額は10万円だ。弁護士特約は損害賠償請求事件等の委任を前提としているので,法律相談費用だけを対象とするこちらの特約は弁護士特約とは別立ての特約になっている場合が多い。


hanya.jpg保険会社から紹介された弁護士の費用だけが支払われるのですか?

 


03dog.jpg全くそんなことはない。保険会社に依頼すれば弁護士を紹介してくれるが,自分で選んだ弁護士でも全く区別なく支払い対象となる。


aryarya.jpg現在は弁護士特約を付けているのですが,事故当時の契約では付けていませんでした。こういう場合は弁護士特約を使えませんよね・・・。


01dog.jpg当然使えない。弁護士特約に限った話ではないが,保険というのは予め契約した保険期間中の契約内容に対応した補償をするものだ。要するに事故発生時に入っていた保険の契約上で弁護士特約を付けていなかったなら,事故後の更新時に新たに付けたとしても事故時の契約に影響はないので,その事故に関しては弁護士特約を使うことはできない。


hanya.jpgどんな場合に弁護士特約を使えるのですか?例えば,その保険を付けている自動車に搭乗中の事故でない場合や,同居家族が歩行中に事故に遭った場合などは使えるのですか?


02dog.jpg各社の保険約款や具体的な契約次第なので一概には言えないが,そのような場合でも使えることが少なくない。

弁護士特約その2

aryarya.jpg自分が加入している任意保険でどんな特約をつけているか,その適用範囲はどうかなど,具体的に把握してません・・・。


01dog.jpg大抵の人はそうだから,まずは「そもそも弁護士特約を付けてるか」「付けてるとして今回の事故で使えるか」の2点を保険会社に問い合わせると良い。


hanya.jpg家に車が2台あるのですが,両方とも確認すべきですか?

 


02dog.jpg2台以上の車を自分や同居家族が保有している場合,全ての保険会社に確認すべきだ。被害者が別居する未婚者の場合,実家の家族が所有する車の保険の弁護士特約が使用可能な場合もあるので,あまり限定せず広く確認して損はない。稀に,自宅や家財に掛けている住宅保険など自動車以外の保険弁護士特約が付いていて,これが交通事故に使える場合もある。


hanyaa.jpg保険代理店の方に聞いたところ,「弁護士特約自体は付いているが今回の事故では使えない」と言われました。

 


03dog.jpg弁護士特約に限った話ではないが,保険契約は複雑なので,保険代理店が被保険者の範囲や適用条件について間違った回答をする場合がある。保険会社ですら経験の浅い担当者が間違った回答をしてしまう場合もないわけではない。


aryarya.jpg間違った回答をされるのでは困りますね。

 


01dog.jpg弁護士特約は元々,被害者無過失の「もらい事故」で被害者の賠償義務がないため保険会社が示談交渉を代行できない場合に有益だとして登場した経緯があるためか,「今回の事故はもらい事故ではなく被害者にも一定の過失があるので弁護士特約は使えない」といった誤った説明をする保険代理店や保険会社の担当者がいるほどだ。もちろんこのような場合でも原則として弁護士特約は使える。


hanya.jpgどうすればいいのですか?

 


02dog.jpg保険会社に弁護士特約が使えないと言われたら,契約内容が記載された書類(保険証券,保険会社に依頼すればもらえる契約内容照会シート保険約款など)を弁護士に見せ,本当に使えないのか,使えないとすれば約款や契約上の根拠は何かなど,念のため確認してもらうのがベストだろう。

弁護士特約その3

hanya.jpg自分の契約する任意保険への請求のため弁護士への依頼が必要になった場合,その費用は弁護士特約で支払われるのですか?


01dog.jpgそれは対象外だ。対象は加害者に対する損害賠償請求(加害者側加入の任意保険や自賠責保険への請求を含む)についての費用であり,人身傷害保険金や搭乗者傷害保険金など自分の任意保険に請求するものは保険金請求であって損害賠償請求ではないから,弁護士特約の対象外だ。


aryarya.jpgなぜそうなるのですか?交通事故で弁護士に依頼して費用がかかる点は同じだと思うのですが・・・。

 


02dog.jpg「賠償義務者への損害賠償請求に限ることが約款に明記されているから」というのがその回答になるが,理屈としては「保険会社が自社に対する請求のための弁護士費用を被保険者に補償するのは自己矛盾である」と考えると分かりやすいだろう。


hanyaa.jpg損害賠償請求でも,なるべく弁護士特約を使用したくないです。翌年の保険料が上がると困るし・・・。

 


03dog.jpg自動車保険には使用すると保険料に影響する(事故歴ありと扱われる)ものと,使用しても保険料に影響しないもの(ノーカウント事故)があるが,弁護士特約の使用はほとんどの保険会社でノーカウント事故として扱われるので,一般的には保険料に響かないから使わないと損だ。


hanya.jpg他に弁護士特約について留意すべき点はありますか?

 


01dog.jpg一部のネット通販型損保では,大手損保と比較して,弁護士特約を使用できる範囲に特殊な制限のある場合がある。例えば,事故発生日から3年以内に損害賠償請求や法律相談を行なった場合でないと支払わないとか,労災事故(業務中や通勤中の事故)にあたる場合は対象外であるといった条項が約款に明記されている場合があるので注意が必要だ。

自賠責保険の重過失減額その1

hanya.jpg自賠責保険への請求では通常の過失相殺はされないと聞いたのですが,どういうことですか?


01dog.jpg自賠責保険は被害者保護の観点で制度設計されているため,被害者過失が一定割合以上の場合にのみ「重過失減額」が行われる。自賠責基準で積算された損害額が保険金額(限度額)に満たない場合はその損害額から,保険金額以上の場合には保険金額から,それぞれ減額がなされる。


aryarya.jpg具体的には,被害者過失がどれだけあれば重過失減額されるのですか?

 


02dog.jpg傷害分・後遺障害分・死亡分の3種類ごとに以下の表のとおりだ。例えば,死亡保険金額は3000万円なので,自賠責基準の損害積算額がそれ以上となる場合で被害者過失が75%と判断されたなら,2割の重過失減額がなされ実際に支払われる自賠責保険金(死亡分)は2400万円となる。なお,傷害分(後遺障害及び死亡に至る傷害分は除く)が20万円未満の場合はその額とし,減額で20万円以下となる場合は20万円とされるという特例がある。

 

被害者の過失割合 減額割合
後遺障害分
死亡分
傷害分
7割未満 減額なし 減額なし
7割以上8割未満 2割減額 2割減額
8割以上9割未満 3割減額
9割以上10割未満 5割減額


 

自賠責保険の重過失減額その2

hanya.jpg重過失減額の前提となる過失割合事故態様の判断は誰がするのですか?

 


01dog.jpg自賠責保険が独自に判断するが,基本的には交通事故実務で広く用いられる『別冊判例タイムズ 民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準』と同様の判断がなされている。前提となる事故態様は刑事記録や当事者等からの聞き取りを基に判断される。


mutt.jpg7割「未満」で減額なし,7割「以上」で減額ありということは,被害者過失がちょうど70%の事案だと減額あり(2割減額)ということになりますね。


02dog.jpg数字上はそうなる。ただし,一般的に過失割合は5%刻みで認定され,70%の前後は65%と75%だが,自賠責の重過失減額の判断では必ずしも5%刻みに拘っていないと思われる節がある。


hanya.jpgどういうことですか?

 


03dog.jpg例えば,基本的過失割合が被害者過失70%の事故態様で,−5%の修正要素としては直ちに認め難いものの僅かながら被害者に有利な要素がある場合,通常の5%刻みの過失割合の判断では最終的な被害者過失も70%とせざるを得ない。しかし,自賠責の重過失減額上の判断では,この被害者に有利な要素を例えば−1%と評価し最終的な被害者過失が69%と認定され,重過失減額なし(7割未満のため)の結論となった,と思われる事例もないわけではない。もっとも,自賠責からはこのような細かい認定過程が示されるわけではないのであくまで結論からの推測だが。


mumutt.jpgなるほど。一般的に見て被害者過失70%と判断される事案でも,必ず自賠責で2割の重過失減額が確実というわけではなくて,請求したら減額なしで満額支払われた,ということもあり得るんですね。

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